5分カギをかけずに出かけたら泥棒に入られる時代

自転車置き場に向かおうと、集合ポスト側の玄関から外に出ると、開いた扉の向こう側に人がいて、危うくドアをぶつけそうになった。相手がすぐに気が付いてどいてくれたので、とっさに謝罪の言葉を発したが、どいた人はその向こうにいた人たち数人とおしゃべりに夢中で、私の存在や謝罪には全く気が付いていないようだった。ゴミ捨て場の鍵を開け中にゴミを捨ててから、おしゃべりをしている人たちの横をすりぬけて自転車置き場に向かったが、おしゃべりしている人たちの話は、しばらく続きそうな感じだった。

話していたのは間違いなくこのマンションの人たちだ。恐らく子どもを幼稚園に送りだし、その後にそのまま立ち話をしているのだろう。皆随分軽装だったが、きちんと部屋の鍵をかけて出てきているのだろうか。5分カギをかけずに出かけたら泥棒に入られる時代だから、余計な心配をしてしまった。

私は以前、1人暮らしをしていたマンションに、泥棒に入られたことがある。学生時代、大学のすぐそばの商店街の中にあるマンションだった。マンションの横がすぐコンビニエンスストアーだったので、まるで冷蔵庫感覚でよく買い物に出ていた。その日もゴミ出しのついでにコンビニエンスストアーにより、ちょっと雑誌を立ち読みして飲み物を買って戻ったのだ。うっかり鍵を閉め忘れていたと気づいたのは、部屋に戻ってからだ。帰宅してすぐに、泥棒に入られたことがわかった。私は玄関で立ったまま、すぐに警察に電話したことを覚えている。

そんな経験があったから、私はそれ以降、鍵という鍵の掛け忘れは絶対にしない。鍵の扱いには慎重になったし、防犯に対する意識も普通の人より高いと思う。今のこのマンションを選んだのも、玄関だけじゃなく駐車場にも電動ゲートがついていたからと、来訪者をビデオ録画できたり、メールで知らせてくれる機能があったからだ。